今回は、スイス出張における出入国とビザや現地情報について紹介します。なお、規定や手続きは変更となる場合がありますので、最新情報は下記のリンク等にて確認しましょう。(※2025年12月現在の状況です。)
もくじ
スイスは、精密機器、金融、医薬品、国際機関など、多様なビジネスが集積する欧州の重要拠点です。日本から出張する際は、高い物価や公共交通機関の正確さなど、スイス特有のビジネス環境や慣習を理解しておくことが、スムーズな商談や業務遂行の鍵となります。
まずは、スイス出張の拠点となる主要都市と、渡航前に必ず確認すべき基本要件について整理しましょう。
スイス出張では、目的とする産業や機関によって、訪れる都市が明確に分かれるのが特徴です。
主な拠点は下記の通りです。
スイスはEU非加盟国ですが、シェンゲン協定に加盟しているため、同協定のルールに基づいた準備が必要です。
| 項目 | 内容・条件 |
| ビザ(査証) | 90日以内の短期商用目的であれば、日本国籍者は原則としてビザ不要です。ただし、現地での就労(労務の提供に該当する)が含まれる場合は、期間に関わらず就労許可が必要になるケースがあるため注意が必要です。 |
| パスポート有効期限 | スイス(シェンゲン協定加盟国)からの出国予定日から3ヶ月以上の残存期間が必要。 |
| 旅券の未使用ページ | 入国スタンプを押印するため、見開き2ページ程度の余白があることが望ましい。 |
| 滞在可能期間 | 「あらゆる180日の期間内で最大90日間」というルールが適用されます。他のシェンゲン協定加盟国を周遊する場合は、合計滞在日数に注意してください。 |
欧州への渡航に事前承認が必要となる「ETIAS(エティアス)」の導入は、現時点で2026年以降に延期される見込みです。現時点では、引き続き事前の電子申請なしで渡航可能ですが、開始時期は変更される可能性もあるため最新の公式情報を確認するようにしてください。
スイスへのビジネス渡航では、滞在日数および現地で行う活動内容(就労に該当するかどうか)によって、必要な手続きが大きく異なります。スイスは就労に関する判断が非常に厳格な国であり、報酬の有無にかかわらず「労務の提供」に該当するかどうかが重要な判断基準となります。
日本国籍を有し、一般的なビジネス活動を目的とする場合、「あらゆる180日間の期間内で合計90日以内」の滞在であれば、原則としてビザ(査証)の取得は免除されます。
滞在は、「過去180日間の期間内で最大90日まで」という、いわゆる90/180ルールが適用されます。この日数には、スイスだけでなく、他のシェンゲン協定加盟国での滞在日数もすべて合算されます。90日以内の出張であっても、直近で他のシェンゲン国に渡航していた場合は、正確な残存日数を確認する必要があります。
原則として認められる活動例は、下記の通りです。
修理、設置作業、技術指導、アフターサービス等の活動は、内容・期間・関与の度合いによって就労と判断される場合があります。この場合、滞在日数が90日以内であっても、事前に就労許可等が必要となることがあります。
欧州渡航情報認証制度(ETIAS)は、当初の予定から導入時期が延期されており、2025年現在は未開始です。そのため、現時点では渡航前のオンライン認証申請は不要ですが、導入時期は今後変更される可能性があります。
なお、入国に際しては必ずパスポート残存期間が出国予定日から3か月以上あることを確認してください。
ETIAS(エティアス)はいつから必要?2026年導入予定の最新情報解説
90日を超える滞在や、スイス現地での直接的な就労を伴う場合は、タイプDビザ(長期滞在査証)の取得に加え、現地での滞在許可(Permit)が必要となります。
L許可証(短期滞在許可): 1年未満の期間限定の雇用・プロジェクトに従事する場合。
B許可証(滞在許可): 1年以上の雇用契約に基づく駐在員などに発行される、一般的な居住許可。
※就労を目的とする場合、タイプDビザの取得と、L許可またはB許可の付与がセットで必要となるのが一般的です。
これらの手続きには、日本国内のスイス大使館での申請に加え、スイス側の受入企業が各州当局へ申請を行うプロセスが含まれます。取得までに少なくとも2〜3か月、場合によってはそれ以上の準備期間を見込むことが推奨されます。
ビザ要件や入国・就労規制は、政治情勢や新制度(EES/ETIAS等)の導入により、予告なく変更される場合があります。必ず最新情報を以下の公式窓口で確認してください。
ビザ申請の管轄および最新の公式情報を確認できます。
滞在許可・就労定義に関する詳細な規定が掲載されています。
入国条件、治安情報、注意喚起などの基本情報を確認できます。

スイスへは 入国審査→預け荷物受け取り→税関申告 の流れで入国となります。
スイスはシェンゲン協定加盟国のため、他のシェンゲン協定加盟国を経由して入国する場合、入国審査および税関検査は最初に到着したシェンゲン圏内の空港で行われます。スイス出国時には出国審査のみが行われます。
飛行機を降りたら、「Arrival(到着)」の案内表示に従って、「Immigration(入国審査)」へ。
EU/シェンゲン協定非加盟国からの旅行者用カウンターに並び、審査官にパスポートを提示して審査を受けます。
日本出発の際に手荷物を預けた人は、自分が乗ってきた飛行機の便名が表示されたターンテーブルで受け取ります。
免税範囲内の人は「NOTHING TO DECLARE」と書かれたゲートへ進み、申告するものがある人は「GOODS TO DECLARE」と書かれたゲートへ進み、審査を受けます。
チューリッヒ空港は、スイス最大規模の国際空港で、多数の長距離路線が運航されています。チューリッヒの中心から北におよそ13キロメートルの位置にあります。アクセスの詳細は以下をご覧ください。
空港からチューリッヒ中央駅までの所要時間は約12分、料金は約6.8フランです。
※運賃はゾーン制のため、利用区間や改定により変動する場合があります。
空港から市内中心部までの所要時間は約47分、料金は約6.8フランです。
※時間帯や行先により所要時間が前後する場合があります。
空港から市内中心部までの所要時間は約20分、料金は目安として約60〜70フランです。
※渋滞状況や目的地により料金は変動します。
ジュネーヴ空港は、スイス・ジュネーヴ市中心部から北西へ約4kmの場所に位置する国際空港です。市内へのアクセスも非常に良く、短時間で移動できます。
アクセスの詳細は以下をご確認ください。
ジュネーヴ空港は市街地の北西約4kmに位置しており、空港から市内中心部にあるGare Cornavin(コルナヴァン駅)までは、電車で約7分です。
空港から出発する列車はいずれも同駅に停車するため、乗り換えなしで移動できます。
※運賃は改定や利用区間により変動する場合があります。
主に5番・10番のバスがジュネーヴ市内へ運行しており、市内中心部までの所要時間は約8〜15分です。
なお、ジュネーヴ市内のホテル、ユースホステル、またはキャンプ場に宿泊する旅行者は、施設から「ジュネーヴ交通カード」を受け取ることができ、ゾーン10内の公共交通機関を無料で利用できます。
※交通カードはチェックイン後に受け取るのが一般的なため、到着直後の移動では利用できない場合があります。
ジュネーヴ空港のタクシー乗り場は到着ロビーを出てすぐの場所にあります。
空港から市内中心部までの所要時間は約20〜30分、料金は目安として約50フランです。
※交通状況や目的地により変動します。
スイスでのビジネスを成功させるには、高度なプロ意識と「スイス流」の礼儀への理解が欠かせません。特に以下の3点は、日本人出張者が見落としやすいポイントです。
スイス人は時間の正確さに非常にシビアです。
スイスは鉄道が1分単位で正確に運行される国です。会議にわずかでも遅れると、相手の時間を尊重していないと受け取られ、信頼関係に影響する可能性があります。
突然の訪問や、直前のアポイント依頼は失礼にあたります。一般的には、少なくとも数週間前には予定を確定させておくことが望ましいとされています。
スイス(シェンゲン協定域)からの出国は、入国時と同様に厳格に管理されます。近年は、EUが導入を進めている新システム「EES」の影響により、滞在日数の管理がより厳格化されつつあります。これにより、滞在日数の計算ミスや申告漏れは、従来よりも把握されやすい状況となっています。
スイスから日本へ帰国する場合、またはシェンゲン圏外(イギリス、トルコ、アジア諸国など)へ向かう場合は、以下の手順で出国審査が行われます。
チューリッヒ、ジュネーブなどの主要空港では、混雑や出国審査の強化に備え、出発時刻の3時間前までに空港へ到着することが推奨されます。
EESは、顔認証や指紋情報を用いて入出国をデジタルで管理する仕組みです。現在、EU域内で段階的に導入が進められており、出国時にはキオスク端末や審査官による確認を通じて、滞在日数が記録・管理される仕組みとなっています。
スイス国内で高額な買い物を行い、免税(VAT還付)を希望する場合は、原則として出国審査前に税関窓口で輸出証明の手続きを行います。なお、手続きの流れは空港や還付方法(電子還付など)により異なる場合があるため、当日の空港案内に従ってください。
日本国籍者がビザなしでスイスに滞在できるのは、「過去180日間の期間内で合計90日まで」です。この期間を1日でも超過した場合、オーバーステイと判断され、罰金、強制退去、将来の欧州渡航制限などの措置が取られる可能性があります。
「180日間の期間」は固定されていません。出国日から遡って過去180日間を計算対象とする方式が採用されているため、短期間に複数回出張を行う場合は特に注意が必要です。
EESの導入が進むことで、入出国日や滞在日数は従来よりも正確に管理される方向にあります。自己管理による日数計算の誤りが発覚しやすくなるため、出張者・企業双方において、事前の確認と管理がより重要となっています。
企業の出張管理者は、以下の対策を講じることを推奨します。
住所: 〒106-0047 東京都港区南麻布5丁目9-12
住所: Engestrasse 53, 3012 Bern, Switzerland