海外出張の流れややるべきことについて知りたい方はこちら
初めての海外出張もこれで安心。出発前から帰国後までの一連の流れを解説
「海外出張が決まったが、パスポートの準備はどうすればいい?」「今のパスポートで入国できる?」とお悩みの方へ。海外渡航においてパスポート(旅券)は、単なる身分証ではなく、あなたの安全と業務を支える最重要アイテムです。
社員の安全管理や手配を円滑に行うことも、コロナ禍以降はこれまで以上に企業に求められます。本編からは、出張だけでなく海外渡航全般について、準備編、手配編、渡航編の3部構成で紹介します。
本記事では、パスポートの基礎知識から、世界ランキング、具体的な申請・更新(切替)の手順、トラブル時の対処法までを、出張管理の専門家の視点で網羅的に解説します。この記事を読めば、渡航直前に慌てることなく、完璧な準備を整えることができます。
もくじ
パスポート(旅券)とは、外務省が発行する「世界共通の公的身分証明書」です。空港での出入国審査、ビザ(査証)の申請、滞在先のホテルでのチェックインなど、海外渡航のあらゆる場面で必要不可欠なアイテムであり、紛失すると帰国すら困難になる最重要書類です。
外務省が発行している旅券統計(令和3年)によると、日本国内のパスポート普及率は19.5%となっています。新型コロナウイルスの影響による新規発行数の減少により、かつての20%台からは低下していますが、国際的な信頼性は依然として世界トップクラスを維持しています。
-1024x415-1.jpg)
(令和 3 年の出国者数は前年比83.9%減、平成 31・令和元年比 97.4%減:出入国在留管理庁「出入国管理統計」暫定値)
日本のパスポートは、ビザなしで渡航できる国の数が世界で2番目に多い「世界最強クラス」の旅券です。2025年版のパスポートランキングでは、193カ国へ事前にビザを取得せずに入国できるとされており、シンガポールと並んで国際的に極めて高い信頼を証明しています。
参照:イギリスのコンサルティング会社である「ヘンリー&パートナーズ」が行った調査(パスポート・インデックス2025年版)によると、日本は世界のパスポートランキングにおいて、シンガポールに次ぐ、2位となっています。
| Rank | 国名 | ビザなし |
|---|---|---|
| 1 | シンガポール | 195 |
| 2 | 日本 | 193 |
| 3 | フィンランド | 192 |
| 3 | フランス | 192 |
| 3 | ドイツ | 192 |
| 3 | イタリア | 192 |
| 3 | 韓国 | 192 |
| 3 | スペイン | 192 |
ただし、この調査は現地で簡単に取得できるビザや電子ビザはビザ申請不要にカウントされているので、入国時や滞在条件、入国目的によっては日本出国前のビザ取得が必要な国もあります。
業務渡航の場合は滞在日数も長く、業務ビザや就労ビザの申請が必要な場合もあるので注意しましょう。
日本のパスポートを所持していても、事前のビザ申請が必須となる国は33カ国あります(2024年1月時点)。主な対象国はロシア、北朝鮮、サウジアラビア、アフガニスタンなどで、渡航先の情勢や国同士の政策により、ビザなしでの入国が制限されています。一方で、事前のビザ申請なしで入国が可能な国の数は日本は193ヵ国となっています(2024年1月時点)。
| ロシア、北朝鮮、アルジェリア、アンゴラ、ブルキナファソ、ブルンジ、カメルーン、チャド、中央アフリカ、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、コートジボアール、赤道ギニア、エリトリア、ガンビア、ガーナ、リビア、マリ、ニジェール、ナイジェリア、シエラレオーネ、南スーダン、イラク、シリア、サウジアラビア、イエメン、キューバ、ナウル、アフガニスタン、ブータン、トルクメニスタン、パキスタン、リベリア |
ビザが必須となる理由としては、日本との国同士の政策・主義の違いによるか、渡航先の国の情勢が不安定であり、外国人の入国を警戒している点が挙げられます。
一般的な海外出張で使用されるパスポートは「一般旅券」と呼ばれ、有効期限により「5年用(紺色)」と「10年用(赤色)」の2種類に分かれます。18歳以上の成人であればどちらかを選択できますが、頻繁に出張に行くビジネスパーソンには、更新の手間が少ない10年用が選ばれる傾向にあります。また、「公用旅券」は国会議員や公務員が公務で渡航する際に使用します。
ここでは出張手配に関係する一般旅券について触れていきます。一般旅券には5年用と10年用の2種類が用意されています。
紺色のパスポートです。18歳未満の場合は5年用しか申請出来ません。18歳以上であれば、5年用もしくは10年用のいずれかを選択します。未成年は身体の成長や顔つきの変化が大きいため、10年用を申請出来ないとされています。
(令和3年3月31日までの申請は20歳未満となっていますが、成人年齢の引き下げに伴いパスポートの申請年齢も変更されました。)
赤色のパスポートです。更新の費用や手間を考えると、10年用を申請する方が多いでしょう。査証ページ数も5年用より増えますが、出張が頻繁にある方は査証欄の増補(ページ数の追加)が必要な場合もあります。
| 項目 | 5年間パスポート | 10年間パスポート |
|---|---|---|
| 申請年齢 | 制限なし | 18歳以上 |
| 費用 | 11,000円 | 16,000円 |
| 査証ページ数 | 32ページ | 48ページ |
| 増補可能数(査証ページの追加) | 40ページ(1回限り) | 40ページ(1回限り) |
| 表紙の色 | 紺 | 赤 |
パスポートの新規発給申請・更新(切替発給)には、以下の書類(その他にも記載事項の変更や増補等があります)が必要です。漏れがあると受取が遅れるため、余裕を持って準備しましょう。
外務省のサイトから事前にダウンロードすることも可能です。
ここで重要な点は、「パスポートの氏名表記は一度申請すると変えることが出来ない」ということです。
ヘボン式ローマ字のルールに沿って、名前のスペルを登録します。一度、申請された表記は婚姻等による氏名変更を除き、基本的に変更することは出来ないので注意しましょう。
パスポート申請に役立つヘボン式ローマ字のルールについて詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。
【海外出張手配のいろは/準備編】パスポートで利用するヘボン式ローマ字のルール
申請日前6か月以内に作成されたものを用意します。取り寄せには日数がかかるので、パスポートの申請が必要であれば早めに取り掛かりましょう。
住民登録のある都道府県で申請する場合は不要です。住民票が必要になるかどうかは申請先の窓口に問い合わせましょう。
縦45mm×横35mmの証明写真です。
非常に細かくルールが決まっているので撮影の前に必ず確認しましょう。証明写真機でも手軽に取得できますが、不安な方は写真スタジオで撮影すると安心です。
新規発給、切替発給を問わず、手元に有効旅券がある場合は、申請時に提出して失効処理をします。
運転免許証やマイナンバーカードであれば1点で済みますが、それ以外の書類の場合は2点を用意します。
| 1点でよい書類 | マイナンバーカード(個人番号カード。通知カードは不可。)、運転免許証、船員手帳など |
| 2点必要な書類 (A)と(B)から1点ずつ用意 | (A)健康保険証、国民健康保険証、共済組合員証、船員保険証、後期高齢者医療被保険者証、国民年金証書(手帳)、厚生年金証書、船員保険年金証書、恩給証書、共済年金証書、印鑑登録証明書等 (B)学生証、会社の身分証明書、公の機関が発行した資格証明書等 |
出典:日本国内及び海外でパスポートに関する申請手続きに通常必要な書類|外務省

パスポートの申請は、住民登録のある都道府県のパスポートセンター等で行います。発行までの所要日数は通常6営業日(約10日〜2週間)です。渡航先によってはビザ申請にさらに時間を要するため、出発の1ヶ月前には申請を終えておくのが安全です。窓口による所要日数の前後、土日祝日や本人による受領を考慮し、渡航までの日数を逆算して余裕を持って申請しましょう。
申請書の「法定代理人署名」欄に親権者(父母またはそのいずれか)、または後見人の署名が必要です。
何らかの理由で申請書に署名ができない場合は、親権者ご本人または後見人が署名した同意書を提出する必要があります。署名が得られない事情がある場合は、各都道府県のパスポート申請窓口に相談しましょう。
申請は代理者の提出でも構いません。ただし、代理提出における委任欄への記入や代理者の本人確認書類が必要です。
新しく発行されたパスポートの受領は、年齢に関わらず必ず「申請者本人」が窓口へ行く必要があります。受領時には、申請時に渡された「受理票(引換票)」と、手数料分の「収入証紙・収入印紙」が必要です。窓口の受取可能時間も事前に確認しておきましょう。
パスポートの申請時に渡される引換票です。
パスポートの申請費用分の収入証紙及び収入印紙を受領証に貼付する必要があります。申請窓口では購入出来ないこともあるので、事前に用意しておくと安心です。
旧姓のままでもパスポートは有効です。重要な点は、航空券やホテルを予約したスペルとパスポートのスペルが一致しているかどうかです。一文字でも異なっていた場合は、渡航を断念せざるを得ないでしょう。
氏名や本籍地の変更が必要な場合は、記載事項変更旅券の申請を6,000円で行うことが可能です。
旧姓や別性の併記に関する要件が令和3年から緩和されているため、業務渡航やキャリアの関係で旧姓の継続が望ましい方も利用しやすくなっています。
渡航国によっては入国条件にパスポートの有効期限が設定されている場合があります。設定されている場合は入国日から3~6ヵ月以上の残存日数が求められることが多いです。前触れもなく入国条件が変更になり、不法滞在に該当してしまうケースもあるので、有効期限が1年を切った場合は更新することをおすすめします。
海外出張や不慮の事故、ご家族の不幸等で急遽渡航が決まった方から多い質問です。人道的な配慮が必要な場合を除いて、パスポート申請における特別対応はまずありません。
渡航先で紛失した場合と日本国内で紛失した場合で対応は異なります。
1.現地の警察や消防署等の公的機関に届け出る
パスポートを紛失した証明書を発行してもらえます。手続きは国毎に異なるので、出発前に確認しましょう。
2.日本大使館でパスポートの失効手続きを行う
紛失証明書を使ってパスポートの失効手続きを行います。必要書類は滞在状況等で異なります。手続きを行う在外公館へ問い合わせましょう
3.「帰国のための渡航書」か「パスポート」の発行を行う
帰国のための渡航書は、パスポートの代わりとして日本へ帰国するために発行されます。日本への帰国前にその他の国に入国する予定がある場合は使えません。
滞在日数に余裕がある場合や周遊を予定している場合はパスポートを申請します。
手数料や必要書類は滞在国により異なります。こちらはパスポートの失効手続きと同時に申請が可能です。
1.パスポートの申請窓口に紛失を届け出る
必要書類を揃えて届け出ましょう。必要書類は以下の通りです。
・紛失一般旅券等届出書
・紛失または焼失を証明する書類
・6か月以内に撮影された顔写真(縦45mm×横35mm)
・本人確認のための書類
・住民票(対象者のみ)
2.パスポートを再発行する
紛失を届け出ると同時に新規発給の手続きを行うことが出来ます。再発行も希望する場合は上記に加えて以下の書類が必要です。
証明写真は紛失届と新規発給の両方で必要なため、合計2枚準備します。
・一般旅券発給申請書
・6か月以内に撮影された顔写真(縦45mm×横35mm)2葉
・戸籍謄(抄)本
3.パスポートを受領する
受取は本人に限ります。手数料も新規発給と同額が必要なため、収入印紙も購入しましょう。
海外渡航において最重要アイテムであるパスポートは、余裕を持った申請と厳格な管理が不可欠です。特にビジネスでの渡航はスケジュール変更が難しいため、有効期限の確認や必要書類の準備を早期に完了させましょう。万が一の紛失に備え、コピーの所持や緊急連絡先の確認も出国前に行っておくことをおすすめします。ここでは主に手続きについて解説しましたが、邦人保護の役割を果たすパスポートは悪用されることもあるため、徹底した管理が必要です。現地での保管方法や紛失等のトラブル時の対応も出国前に確認されることをおすすめします。
出張手配・管理にお困りの企業様向け:出張管理の基礎知識をまとめたebookを無料配布中です。
■出張のいろはのダウンロード

出張管理においてチェックすべきポイントと、具体的な実施方法を網羅的に解説した入門書です。